第76章 始まるGW
杏寿郎は両家の家族に座るように勧め、その後に自分が座ると改めて頭を下げる。
桜もそれに続くように頭を下げた。
杏「今日はご足労頂きありがとうございます。今日は婚約、」
―――ガターンッ
杏「婚約をしたというご報告ではありませんが!互いに話し合う機会を設けられたらと思い、この席を用意させて頂きました。」
杏寿郎の言葉に心臓を跳ねさせ後ろの壁に頭を打ち付けた勇之が 由梨に呆れられた顔で介抱されている。
桜は『気にせず続けて。』と耳打ちした。
杏「この機会に打ち解けて頂けたら嬉しいです。ではお楽しみ下さい。」
再び杏寿郎と桜は頭を下げる。
それを皮切りに人見知りという言葉を知らない由梨が瑠火だけでなく槇寿郎や千寿郎にも話し掛ける。
槇寿郎は由梨を見て『桜は母親に似たのだな』と思った。
由「それで杏寿郎さんの桜を見る目があまりにも温かかったから、私写真を見つけた時 2人は前世で結ばれていたのだと直感したんですよ。」
瑠「本当に由梨さんは柔らかい思考ですね。」
槇(言われる前にそう思ったのか…。)
千(飲み込みが早すぎる…。)
会話の中心は由梨と瑠火だった。
そこに由梨が槇寿郎と千寿郎を巻き込み、勇之は放置されている。
「お父さん、参加しないの?」
その声に勇之はビクッと体を揺らす。
目が合えば勇之が泣きそうになっているのが分かった。