第76章 始まるGW
翌日―――、
杏「うむ!髪も上げたのか!綺麗だぞ!!」
「ありがとうございます。杏寿郎さんこそ格好いいですよ。」
2人はお互いの姿を褒め合うと車に乗り込み、予約してあった店へ向かった。
参加者が本人たちと互いの両親、そして千寿郎だけであった為 予約した座敷はそれ程大きくない。
一番乗りで入ると桜はそわそわとしながら両家の面々を待った。
杏寿郎をちらりと見上げるとどこを見ているのか分からない感情を読み取りにくい笑顔を浮かべている。
「もしかして杏寿郎さんも緊張しているのですか?」
杏「…………そうかもしれないな!君のお父様とはまだギクシャクしている!!」
「父にしては緩い態度だと思いますよ。もっと他の男の子に対しては当たりがきつかったですもん。それに煉獄家の皆さんがいらっしゃる前では大人しくしていると思います。」
杏「それでは意味がない。俺は認めてもらい、祝ってもらいたいんだ。」
その言葉に桜は少し目を見開いた後ふわりと微笑んだ。
「そうですね。」
由「……だそうですよ?ほら、そろそろ入ってくださいな。盗み聞きはお行儀が悪いですよ。」
勇「あ、ああ……。だが、」
由「杏寿郎さん、桜、お久しぶりね!」
勇「あっ、ゆ、由梨…!」
「お母さん、お父さん、今日は来てくれてありがとうございます。」
そう言って色留袖をきちんと着付けた桜が綺麗に頭を下げると不意打ちを食らった勇之は涙を流し始めた。