第76章 始まるGW
「うん!良くなったね!低音パートすっごく音厚くなった!後半のチューバ、よく鳴ってるの聞こえたよ。音の切り方も上手くなったね。ユーフォはソロの歌い方が更に…、」
合奏中は課題を言い渡すが、基本的に合奏後の桜は生徒達を褒め殺しにする。
桜は個人練での演奏についても褒める時があった為、合奏で成果を出せた生徒達は勿論、まだ殻を破り切れていない生徒達も密かにそれを楽しみにしていた。
陸「ありがとうございました!!」
「「「ありがとうございました!!!」」」
「はい!お疲れさまです。連休だと合奏の椅子片さなくていいから楽だねえ。」
挨拶を終えた桜が更に纏う空気を柔らかくさせると楽器を片しながら女生徒が桜を見て悪戯っぽい笑みを浮かべる。
女生「一ノ瀬先生はゴールデンウィーク、煉獄先生とどこか行くんですか?」
「……えっ!?」
吹奏楽部員達はメリハリをしっかりと付けられる生徒達であり、そして普段は恋に興味のある普通の生徒達でもあった。
「普通だよ!いつも通り…、」
桜が赤い顔のまま何となく視線を上げると部員全員が慌てる桜を興味深そうに見ていた。
桜はハッとすると自身の口を手で覆う。
女生「先生!もう遅いです!!」
その言葉と共に温かい笑い声が音楽室に満ちる。
画像が広まってから杏寿郎は答えられる質問をされれば割とオープンに答えていたが、桜が杏寿郎との交際を認めたのはこれが初めてであった。