第75章 とある日曜日
―――
「ただいま帰りました!!」
杏「はは、任務帰りのようだな!夕飯ももう食べた事だし風呂に入ってゆっくりしよう。」
「はい!」
桜はにこっと笑うと靴を脱ぎ、急いで風呂場へ向かおうとする。
すると杏寿郎は遠ざかろうとした桜の手を無意識に掴んで引き止めた。
杏「……………………………………。」
「…………杏寿郎さん…?」
桜の呼びかけに応えず、掴んだ手をそのまま引いて抱き寄せると桜の髪に顔を埋める。
杏「すまない。恐らくだが離れがたく思っている。……あともう少しだけこうさせてくれないか。」
桜はその言葉を聞くと嬉しそうに目を細めて抱き締め返し、『もちろんです。』と言った。
暫くすると杏寿郎はしっかりと切り替えて余裕を取り戻し、一緒に風呂へ入ると桜がのぼせるまで翻弄し続けた。
「盛りだくさんな日でした……。まるで旅行したみたい。」
ベッドに入ると桜は少し遠くをみるような目でそう呟く。
一方、杏寿郎は思い出すように目を瞑って微笑んだ。