第75章 とある日曜日
杏「楽しかった "から" だろう。では次の予定を立てようか。」
「えっ…い、いつのですか?」
杏「勿論来週、1週間後だ。そうだな…、江ノ島はどうだろうか。一緒に昼飯を作って公園へ行きのんびりするのも良いな。」
「……公園…?あのマンション裏の小さな……?」
杏「君と一緒なら俺はそれでも良いが ご近所さんからは変な目で見られると思うぞ!俺が言ったのは日比谷公園や代々木公園などの大きいものだ!」
「あっ、なるほど…。では公園がいいです!江ノ島も行ったことがないので行ってみたいですが、遠いですし1回まったりデートを挟みたいです。あ…、まったりといえば映画をたくさん借りてきてお家で過ごすのも楽しそうですね!」
寂しそうな顔をしていたからまた外へ連れ出す約束をしようとしていた杏寿郎は、今感じる独特な寂しさを忘れてしまえる程 桜が家を居心地良いと感じているのだと知り、胸が温かくなるのを感じた。
杏「そうだな。俺もそれを心の底から楽しそうだと思える。」
杏寿郎の妙な言い回しに桜はただ首を傾げた。
杏(結局はどこでも良いんだ。場所の問題では無い。ただ、2人きりで過ごせるこの日曜日が堪らなく愛おしく、儚く感じてしまったのだろう。)
杏寿郎の心の中にも芽生えていたその寂しさはすっかり溶けて跡形もなく消えてしまっていた。