第75章 とある日曜日
杏寿郎はそれにも笑い、1度顔を離すと上手くキスを出来なかった故に赤くなっている桜を愛おしそうに見つめてから額を合わせる。
杏「随分と熱烈なキスだったな。驚いて声が出てしまったぞ。」
「……うぅ………………、んっ」
杏寿郎はやり直すように柔らかく優しいキスをしながら桜の髪を甘く梳いた。
失敗から落ち込んでいた桜はすぐにその優しい空気に飲まれ、無防備な表情を見せる。
ゆっくり顔を離すと杏寿郎は両手で桜の頬を包んだ。
杏「……元より別れるつもりなど無いが、知ったらやりたくなってしまった。」
「ふふ、こういうのも知れて私はとっても楽しいです。」
杏「そうだな。俺もとても楽しい。」
2人はまるで学生のカップルのようにジンクス1つでとても幸せそうに笑い合った。
杏「今日は満足して頂けただろうか。」
「はい!!」
杏「うむ!良い返事だな!」
帰りの車の中、桜は楽しかったと思えば思う程 胸に違和感を感じて首を傾げた。
その気配を察した杏寿郎が前を見ながら声を掛ける。
杏「どうかしたのか。トイレはさっき行ったろう。」
「と、トイレじゃないです!……なんだか、楽しかったのに…………変な気持ちに…。もやもやして……。」
杏寿郎がチラッと横を見ると桜の表情からは寂しいという感情がだだ漏れになっている。
杏寿郎は自身の中にもそれを見つけ少し微笑んだ。