第75章 とある日曜日
「…………え、激しく回るって……、こう…地球回りに、ですか……?」
杏「いや、重力に逆らう方だな。上にこれを吊り下げているアームがあるだろう。それを軸に時計の針のように回るのだと言っていた。」
「………………………………………………。」
それを聞いた桜は『これ絶叫系だったんですね…。』と小さく呟くと無意識に杏寿郎にしがみついた。
杏寿郎は少しの間 口角を上げて感情を読み取りづらい笑みを浮かべながら口をむずむずとさせて黙っていたが、堪えきれなくなると眉尻を下げて笑い 呆ける桜の頭を宥めるように撫で始めた。
杏「すまない。勿論嘘だ。俺も初めは信じてしまった。」
「……………杏寿郎さん……………………。」
杏「本当にすまなかった!!それより桜、2大タワーが見えるぞ!!!」
「えっ!?ど、どこですか!!」
すぐに今までの話題を忘れて嬉しそうな声を上げる桜に杏寿郎はまた微笑み、桜の後ろから窓に手をついてタワーの位置を指し示した。
「あれ…?色がいつもと違う……綺麗ですね…。」
杏「ああ、このぐらいの時間になるとLEDの一風変わったライトアップになる。喜んでもらえて良かった。」
それから2人は上がるにつれて見えるようになる景色を眺めながら 『家はそっちの方向だ』、『前に行ったのはあそこら辺だ』、などと話していた。