第75章 とある日曜日
(ご飯も食べたし……そろそろ帰るのかな。)
そう思いながら少し寂しそうな顔をすると杏寿郎の大きな目がそれをしっかりと捉える。
杏「まだ帰らないぞ。もう少し時間が経つまで買い物をしよう。」
「時間が経つまで……?」
杏寿郎は『うむ!』と笑いながら手を引いた。
杏「………桜、愛らしいにも程がある。すみません!これを一着…、いや他の種類も全て、」
「杏寿郎さん!昔それはだめって言いましたよ。」
杏「だが これはただの色違いではないぞ。きちんとそれぞれの耳が違う形を、」
「だめです。」
桜が杏寿郎に促されるまま試着していたのは大きなフードにキャラクターの耳が付いているモコモコのルームウェアだ。
桜にキッパリと言われても杏寿郎は食い下がった。
杏「全ての種類を着倒せば無駄ではないだろう!」
「杏寿郎さんは私に物を与えすぎです。一着でも十分なんです。」
杏「…………頼む、俺が見たいんだ。」
杏寿郎は眉尻を下げて縋るような目を向ける。
桜はそれを見ると目を見開いてから固く瞑った。