第75章 とある日曜日
杏「もう15時になるな。」
暫くまったりと過ごした後、杏寿郎はそう言って抱えながら1度立ち上がり そっと畳の上に桜を下ろした。
杏「ではこの施設を出て次の場所へ行くぞ!」
その言葉に桜は目を輝かせる。
「はい!どこに行くんだろう…。たのしみです。」
杏寿郎はそう心底楽しそうに笑う桜を見ると堪らなくなり、抱き寄せ ぐりぐりっと頭に頬擦りをした。
「ふふふーわんちゃんみたいで可愛い。」
杏「昔にもそれを言っていたな。今は意味がそこそこ分かるが あの時は耳を疑ったぞ。」
「好きってことです!」
慌てて言う桜の額にキスを落とすと杏寿郎は手を引いて部屋を出る。
杏「それももう十二分に知っているぞ。」
―――
「車…?」
杏「うむ!車のアミューズメント施設だ!試乗出来たりとなかなか楽しかった記憶がある!!」
楽しそうに話す杏寿郎の横で桜は申し訳無さそうに眉尻を下げた。
「ごめんなさい、私免許持ってないんです。両親にも友達全員にも『やめときなさい、桜は必ず事故を起こす。』って言われてて…。」
杏「俺も同じ意見だな!取らないでくれ!それにこれから行く場所は免許がなくとも楽しめるので安心して良い!!」
その元気な声と言葉を聞くと桜はやっと顔色を明るくさせる。
(ふふ、車のアミューズメント施設って何だか男の子っぽい。声も大きくなってるし…やっぱり可愛いな。)