第75章 とある日曜日
「あ、あはは!痛い痛い!待ってくださいーっ!」
杏「む?これがか?」
「杏寿郎さん健康すぎます!!」
足湯は川のように長くうねっていて底には割とえげつない大きさの足つぼ用の石が植わっている。
桜はそれに苦戦して動けなくなってしまっていた。
杏寿郎は平らの道を歩くかのように桜の元へ寄るとひょいっと横抱きにする。
「わっ」
杏「花が流れてきて綺麗だな。」
「……はい。杏寿郎さん、いつもありがとう。」
2人分の体重を乗せてボコボコと尖っている石の上を易々と歩く杏寿郎を周りのカップルは口を開けて見ていた。
2人は石のないゾーンで暫くまったりと話し、桜の体が冷えそうになってきたところで杏寿郎は再び手を引き足湯を後にした。
(今度はどこへ行くんだろう。笑ってたけど…。)
行き着いたのは旅館の一室のような部屋だった。
「わあ……杏寿郎さん、ここは?」
杏「2人きりでゆっくり出来る場所だ。君があまりにも男に見られるのでな…少し独り占めさせてくれ。」
そう言うと杏寿郎は桜を抱き寄せスリッと頭に頬擦りをする。
自宅の外だという意識から桜の頬は見事に赤く染まった。