第75章 とある日曜日
(何だか杏寿郎さん、ピリピリしていたな…。ここはカップルさんが多そうだから気にすることないのに……。)
結局また杏寿郎と離れ、女風呂の脱衣所で浴衣を脱ぎながら桜は少し寂しく感じていた。
(もっと2人で楽しみたい。大勢の人がいる所では気が休まらないのなら…2人きりになれたら良いのに……。)
そんな事を思いながらもいざ湯に浸かると桜は幸せそうな顔になっていく。
そうして長風呂をした後 杏寿郎と連絡を取り合って待ち合わせ、寿司を食べてから出店のような店を回っていった。
杏寿郎はスーパーポール掬いでは山盛り掬い、手裏剣投げでもダーツでも脅威のコントロールとパワーを見せ 店員を泣かせた。
「杏寿郎くんはすごいねえ。人だかり出来てたよ。」
童心に返って楽しそうにしていた杏寿郎を桜がその呼び名で呼ぶと杏寿郎はハッとしてバッと戦利品のスーパーボールを差し出した。
杏「君にやろう!!」
「良いんですか?わああ……懐かしいです!!」
明らかに不要な数のスーパーボールを桜は嬉しそうに持ってきていた巾着に入れる。
杏寿郎は何とか桜の注意を自身の先程までの行動から逸らせたことに息をつくと 再び歩きだした。
「次はどこへ?」
杏「今日は天気が良いので屋外の足湯へ行こう。そこなら2人で湯を楽しめる。」
「わあっ!足湯!!」
そう楽しそうに言う桜を杏寿郎は愛でるように目を細めて微笑みながら優しく撫でた。