第75章 とある日曜日
杏寿郎はその様子に目を丸くした後 眩い笑顔を向ける。
杏「これからたくさん色々な所へ行こう。俺も連れて行かれなければ遊びに行かなかった。ずっと竹刀を振るっていたのでな。なので2人で知っていこう。」
「はいっ!!」
杏寿郎は褒めるように桜の頭を撫でると施設に入り、桜に浴衣を選ばせた。
杏「では着替えたらすぐ出た所で待ち合わせにしよう。ゆっくりでいいぞ。」
「分かりました。」
そう言う桜の頬は緩みに緩んでいる。
杏寿郎はそれを見た男を睨むと再び桜を優しく撫でてから女性更衣室へ押し込んだ。
杏(早く着替えて先に待っていなければならないな。)
しかし桜も着替えが速い。
普通なら出来を気に掛けてしまう帯の結びも桜は鏡で確認もしない。
そして運良く良い位置のロッカーもすぐに見付ける事が出来た。
それでも杏寿郎の速さは鬼気迫るものがあり流石に桜は杏寿郎より遅くに出てきた。
杏「思ったより早かったな。」
「…………?……そうでしょうか。それよりすごいですね!お祭りみたい!」
施設内は夜の縁日が再現してあり桜はその非日常感に目を輝かせる。
杏寿郎はすぐに桜の手をぎゅっと握ると縁日スペースは後にして『早速だが風呂へ入ろう。』と言った。