第75章 とある日曜日
杏(しかし1年は待つと約束した。向こうのご両親にも…。だが4月の時点で既にこうならば桜にとって新鮮味のない新婚生活のスタートになってしまうのではないのか。)
杏寿郎は常に新婚気分を味わえる自信のある自身の事はそっちのけでそんな事を考えながら自分好みの卵焼きと味噌汁を口にし目を細める。
杏(このように味も合わせてくれて…これはもう妻だろう。)
そんな婚約者でもない相手に対するもやもやとしていた気持ちは 食べ終わる頃には満足感から吹き飛んでしまった。
杏「ご馳走様!今日も大変美味かった!!」
「ふふ、お粗末さまです。」
それから2人は仲良く一緒に歯を磨き、スパ施設が開くまでの時間をくっついてテレビを見ながら潰し、車で出発した。
「私初めてなのでわくわくです!」
杏「俺は大学の時に1度連れて行かれた事があるが、それだけだな。君の浴衣姿を見れるのが楽しみだ。向こうでは散々見ていたがな。」
「浴衣……?」
杏「うむ!施設内では浴衣で過ごす事が出来る。と言ってもかなり簡易的な浴衣だがな!」
「へえぇ……!!」
それ以上は『着いてからのお楽しみだ!!』と教えてくれなかった為 桜はすぐに諦め楽しみにする事にし、代わりに学校生活について話し始めた。