第14章 初めての街
入ると案の定、どよめき、イスが倒れる音、皿が割れる音がした。
杏「ご主人!癒猫様も一緒で構わないだろうか!!」
(わあ、ストレートだ……本当肝がすわってるなあ……。)
店「へ!?…ぁ……ゆね…?」
店主はおろおろとして全く順応できない。
杏「ねこの神様だ!」
店の中を見ればカチンコチンに固まって たらたらと冷や汗を流す人、嬉しそうに目を見開いている者もいる。
店主は、店内と目の前の"癒猫様"を交互に見て眉毛をハの字にしている。
(う…見てられない……。)
「きょ、杏寿郎さん…私はやっぱり…、」
―――バターンッ
客「喋ったぞ!!」
客「馬っ鹿!無礼な言葉使うなって…!」
「…っ!」
桜は思わず杏寿郎の背中に隠れる。
杏寿郎はその様子に驚いてから眉尻を下げると、
杏「桜…。やはり家へ帰ろう。無理をさせてすまなかった。」
と言い、頭を優しく撫でた。