第14章 初めての街
(わ、わああ………!!)
先程の道は建物がまばらだったが、大通りにはみっちりと店が建っていた。
木造の二階建てが多いが、たまに洋風な建物もある。
「ごはん屋さんが多いなあ…ここは暮らす街と言うより遊びに来る場所なのかな…。」
桜はこの世界に来てやっと外らしい外に触れた気がした。
予想通り桜の姿を見て一人が気付けば あっという間にどよめきに変わり、注目を集めてしまった。
杏「気にするな!堂々としていれば君は神々しいからな!皆悪いようにはしないだろう!!」
杏寿郎の笑みに少しホッとすると、姿勢を正して歩いた。
杏「あの店だ!!」
しばらく歩くと杏寿郎が嬉しそうな声を上げる。
(あ…さっきは舞い上がってて深く考えてなかったけど、ごはん屋はペットだめだよね…。ペットではないけど…。)
「あの、じゃあ私、杏寿郎さんから見える店前で大人しくしていますので…。」
その言葉に杏寿郎はきょとんとして首を傾げる。
杏「桜も腹が減っただろう?」
「……そんな、こ、と…ない…で、す……。」
(うう…必要なときにはちゃんと嘘つけるようになりたい…!)
嘘をつけずに項垂れる様子をみて杏寿郎は笑い、桜を押しながらお店に入っていった。