第75章 とある日曜日
「私はこっちの方がよっぽど魅力的に感じます。今もシックスパックなんですね…。すごいなあ。」
桜の手は腹から胸を通って二の腕へと滑っていく。
それと共に杏寿郎の額に青筋が浮かんだ。
杏「桜、ストップだ。いや……君がわざと俺を煽っているのなら勿論…、違うな、君はその様に器用な真似は出来ない。」
「……………わたしが…不器用……?」
杏「とにかく裸でいるうちは俺にその様な触れ方をしては駄目だ。」
杏寿郎はそう言いながら桜の両手を掴むと優しく握る。
杏「尻を揉んですまなかった。これであいこにしてくれ。」
「……はい。」
そう言われて状況を把握した桜は頬を染めて小さな声を出しつつしっかりと頷いた。
(と、とても端ない事をしていた…。恥を捨てるのはセックスの時だけ。今はお話ししてるだけなんだから切り替えて気を付けなきゃ……。)
杏「君は、娘が生まれたら何と名付けたい。」
「……………………え…………?」
いつの間にか俯いてしまっていた桜が顔を上げると 杏寿郎は桜の気まずい気持ちを吹き飛ばしてしまうような穏やかな顔をしていた。