第74章 ※力加減
「ち、違いますよ……!謝らないで下さい!あまりにも気持ちがよすぎて頭回らなくなっちゃって…、その後 杏寿郎さんがいる事から安心して寝ちゃっただけです。杏寿郎さんがいない間ほとんど寝れなかったから……。」
桜の赤い顔を見てそれが嘘ではないと感じ取ると杏寿郎は張り詰めていた空気を崩してバフッと布団に突っ伏した。
杏「……………………そうか………。」
「紛らわしいことして本当にごめんなさい……。うー…元気出して……。杏寿郎さん…………。」
杏「大丈夫だ。君の言葉と声色で安心した。」
そう言うと杏寿郎は眉尻を下げた微笑みを浮かべながら顔を上げた。
杏「だが手首に関しては俺がやり過ぎたという揺るぎない事実だ。痛くないのか。どう見ても痛々しいのだが…。」
「…うーん………全然痛くないです。これ、痣…ですか?」
桜はぷらぷらと手を振ってみたり、手首を抓ってみたりして首を傾げる。
「私さっきの…セックスで杏寿郎さんから好ましいものしか受け取りませんでした。」
その言葉に杏寿郎は思わずきょとんとした顔になった。
杏(あのやり方でも何も我慢していなかったのか。桜は前と変わらず腹の中となると丈夫なのだな。だとすると…やはり俺と桜は非常に相性が良い。)
杏「分かった。あれは俺もとても気持ちが良かったので今度は君がきちんと体調の良い日にやろう。手首には湿布を貼る。」
「わっ」
杏寿郎は桜を横抱きにすると寝室を出てソファに座らせる。
そして湿布を持ってくると改めて "痣" を見つめた。