第74章 ※力加減
杏「む?……飲ませろということだろうか。」
杏寿郎がそっとコップを唇につけて傾けると桜はこくこくと水を飲んでいった。
それを見て杏寿郎は堪えきれずに笑う。
杏「甘えたを通り越して幼子になってしまったな。」
しかし飲み終わっても桜はぽーっとしていて調子が戻ってこない。
杏「………桜?少し体重を掛け過ぎたのだろうか。桜、大丈夫か。……桜!」
「………………………、」
ぼんやりとした目のまま桜は力無くぽすんと杏寿郎の胸の中に収まった。
見れば瞼が閉じそうになってしまっている。
杏(この瞳…、雰囲気……、朦朧としていたのか。無理をさせ過ぎた。)
杏「桜、本当にすまない。ゆっくり休んでくれ。」
杏寿郎は冷えないように急いで下を履かせると掛け布団を被せ、寝息が落ち着くまで桜の頭を撫で続けた。