第73章 二人の成敗
「あ、杏寿郎さんからだ……。『こちらも安心してくれ。これで全員だ』。…………うそ…、杏寿郎さん特進クラスの方を把握してたんだ……。」
そう思うと声が聞きたくなり、1人寂しい部屋の中で桜は急いで文字を入力していく。
杏寿郎が開いたメッセージ画面には『良ければ声を聞きたいです。』とだけ表示されていた。
杏(良いに決まっているだろう。)
杏寿郎が電話を掛けるとすぐに桜が応答する。
『杏寿郎さん…!ありがとうございます…。正直に言うとそっちの子達は私の力じゃどうにも出来なくて……。』
杏「恋人なんだ、これくらいは当たり前だろう。それより体調を崩したりはしていないか。変質者には…、そもそも無事に帰れているのか。」
『だ、大丈夫です!変な人はいたけどちゃんと家に着く前に撒いたし、今もきちんとお家にいます。…寂しいくらい静かなのが1番問題かも……。』
杏寿郎はそれを聞いて少し目を大きくさせた。
そして声を上げて笑う。
杏「寂しさの方が大事か!!相変わらず愛らしいなあ、君は。心配しなくとも明後日には帰る、良い子にして待っているんだぞ。」
『………………はい…。』
杏「むぅ。随分と寂しそうだな。俺の服と共に寝ると良い。箪笥の下の方に入っている服はまだ今の柔軟剤の香りが付いていない。」
『はい…。…………分かりました。』
杏「はは、甘えただな。明後日もそうであってくれると嬉しいのだが。」