第73章 二人の成敗
杏「ああ、あの子は疎いからな…何が当たってるのかなんて気付かなかっただろう。………………本当に良かった。」
男生「すみません!すみませんすみませんッ!!」
謝罪の言葉などでは収まらないジリジリと灼けるような空気がその生徒に纏わり付き どんどん重さを増していく。
男生「…………かっ、……ぅ…、」
すると桜の尻に股間を擦り付けていた生徒はとうとう泡を吹いて失神した。
それを見ると杏寿郎は最初の緩い殺気を浴びただけでガタガタと震えていた隣の生徒に視線を移す。
杏「さて、次は君の番だ。」
そう言って怒りに燃える瞳のまま薄く微笑む杏寿郎はネクタイピンを大事そうに中指でするりと撫でた。
杏「冨岡先生!悲鳴嶼先生!!生徒が熱中症で倒れてしまったようだ!!手伝って頂きたい!!!」
杏寿郎はまだ青筋が浮かんでいる笑顔のまま職務時間外の2人を呼んだ。
行冥は季節外れの熱中症と杏寿郎の雰囲気から事情を察し 涙を流したが、体育教師の身でありながら何故か合宿について来ていた義勇は特に何とも思わずにバケツに入れた水を生徒達に掛けて床を水浸しにしてしまった。
杏「冨岡先生はなかなか豪快だな!絨毯が水を吸い切れず凄い事になっているぞ!!」
義「だが熱中症には水分だろう。」
行「……煉獄、どのような理由があったのかは知らないが流石にやり過ぎだぞ。後は任せて頭を冷やして来い。」
杏寿郎は行冥に分かられてしまった事を悟ると短く返事をしてからすぐにその場を去った。
そして共用のテラスに出ると 気絶して倒れている生徒達を撮った画像を桜に送る。