第73章 二人の成敗
杏「池崎、佐藤しげ、高木、中村ひろ、橋本、村上!!夕食を食べ終わったら先生の部屋に来るように!!!」
感情の読めない笑顔でそう言って呼び出すと ホテルの1室に招き入れ、鍵を閉める。
その顔には勿論笑みはない。
杏寿郎は腕を組むと生徒達が腰を抜かさない程度の殺気を放った。
杏「一ノ瀬先生に手を出しているな。普通科の面子は今日こってりと絞られた。だが君達は一ノ瀬先生の録画に気付いて互いに注意し合ったようだな。君達の分だけ顔が映った証拠がないそうだ。」
杏寿郎は僅かに首を傾げる。
杏「これから話す秘密については怒られるので一ノ瀬先生にも皆にも言うんじゃないぞ。実は一ノ瀬先生……いや、桜と俺は将来を誓い合っている仲でな…当然君達の事を1人の男としても大変許し難く思っている。」
杏寿郎の瞳が燃えて空気は重たくなり生徒達の息は浅く速くなる。
杏「桜の体に触れたのは右手か?」
そう問われながら顔を覗き込まれた生徒は首をぶんぶんと横に振った。
杏寿郎はその生徒が右利きである事を知っていた。
杏「……左手か?」
次も首を横に振ろうとして生徒は固まる。
答えを知っている杏寿郎の額には青筋が浮かんでいた。