第73章 二人の成敗
その言葉で弾かれたように全員が土下座をする。
―――パシャッ
桜は無言で写真を撮った。
その音に驚いて皆が顔を上げる。
―――パシャッ
土下座と、それが誰であるかが分かる画像を撮られ、男子生徒達は呆然とした。
桜はそのうちにその画像も実弥と共有しておく。
「えっと……『情けなくて惨めな土下座だなァ。思い切り踏んづけとけ。』だって。あはは、私はそんなお行儀の悪い事はしないよ、良かったねえ。でも、」
桜の顔から再びスッと笑みが消える。
「また "あの人" にあんな顔させたら次はこんなに甘い対応はしない。証拠もずっと取っておく。怯えながら正しい生活をしなさい。」
そう言うと桜はパッといつも通りの笑顔を作る。
「じゃあ、皆この後はしっかり部活に出てくださいね。部活がない人は寄り道せずきちんと帰るように!さようならー。」
桜は隠していたカメラを回収するとさっさとその教室を後にした。
そして廊下を歩きながらカメラをぎゅっと握る。
(結局見逃してしまった……本当、甘い対応だ…これで懲りてくれるといいんだけど。ううん、それより早く実…不死川先生にお礼を言いに行かないと…!)
桜は職員室へ急ぐと戸を開け中で青筋を浮かべている実弥に微笑みかけた。