第73章 二人の成敗
それぞれがした事を述べた後、桜は表情を消してまた話しだした。
「正直な所、私は我慢できる方だし自分だけが被害を受けるのなら大して気にしていません。」
それを聞いて男子生徒が笑いながら野次を飛ばし、口笛を吹く。
「……………………ですが、」
桜の顔には何の表情も浮かんでいなかったが、そう言った途端に目の色が変わる。
それは嫌悪剥き出しの酷く冷たく燃える 荒々しい色であった。
「今回はちょっと違う。あなた達は私のとても大事な人に迷惑を掛けた。」
その瞳で睨まれると生徒達は思わず口を噤んだ。
「これ以上 "あの人" を困らせたら正しい罰を受けて貰うわ。立派な犯罪よ、これ。」
そう言いながら桜が皆に見せつけたのはスマートフォン。
実弥に送ったものと同じ 桜が叱り、やめるように説得する声と男子生徒の手、顔がばっちり入っている動画が再生されている。
桜はただ痴漢行為の被害に遭っていたのではなく、妥協できる尻だけを触らせて説得に応じない生徒の証拠集めをしていたのだ。