第13章 お館様
親「うん。分かった。ざっくりとだけれど、話はまとまったようだね。では…、」
親方様がぱんぱんとゆっくり手を叩く。
そうすると羽音がし、続いて襖が開いた。
そこに立っていたのは先程のひなきという娘。
腕には鴉が止まっている。
親「こちらの鎹鴉を渡すから桜は常に連れていて欲しい。連絡や、任務について教えてくれるからね。」
「は、はい!!」
(烏賢い…!そしてまた漢字が分からない!)
親「では、また何かあったら鴉を飛ばして欲しい。杏寿郎、桜をよろしく頼むよ。」
杏「はい!!」
その後、"二人で失礼します!!" と挨拶をして外まで歩いた。
親方様はそれを見送ったあと、
親「癒猫様…か…。」
と小さく呟き、娘に人を呼ぶように指示をした。
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杏「緊張したか?」
桜の緩んだ気配を感じたのか、杏寿郎が笑いながら見下ろす。
「はい、とても…。でも、いざ会ってみたら親方様はとても柔らかい方で驚きました。もっと…こう…厳しくて、見た目も力士のような方かと…。」
それを聞くと目を大きくする杏寿郎。
が、すぐに愉快そうに笑い出す。
杏「桜はお館様の漢字を勘違いしているぞ!!」
「…えっ…どういう漢字なん…、」
杏「それはそうと腹が減ったな!!」
「ちょっとまっ、」
杏寿郎は有無を言わさず目隠しをすると桜を担いで走り出した。