第72章 始まる学校生活と懸念
副顧問として体育館へ行くと剣道部顧問の杏寿郎も居た。
杏寿郎を見ると腕時計について思い出した桜は分かり易く赤くなった。
杏(相変わらずよく顔に出る。俺が何もしなくともすぐに勘づかれたかもしれないな。)
オリエンテーションでは中等部、高等部共に新1年生が集められており それぞれの部活からは部長と必要な部員が何人か集まっている。
剣道部では打ち合いをしている前で部長が部の説明をしていたが、生徒の野次により杏寿郎も竹刀を手に取った。
杏寿郎がスッと構えると弟の稽古について行っていた桜はそこにいた師範を思い出した。
杏寿郎は瞬く間に気持ちの良い面を入れる。
(面なのが杏寿郎さんらしいな…。それにしても綺麗で速かった……。)
桜が見つめる先で生徒は大いに湧き、杏寿郎は爽やかに笑っていた。
それを見て桜は誇らしい気持ちになったのだった。
吹奏楽部の番になると桜は思わず意味も無く爪先立ちになった。
それに気付いた行冥が笑って落ち着くようにと軽く肩を叩いた。
「あ……ふふ、ありがとうございます。生徒さんに恥ずかしい姿を見せちゃうところでした。」
行「気持ちも分かる。よく見ておくと良い。」
桜は頷くと全部のパートが集まった吹奏楽部の面々を見つめた。