第72章 始まる学校生活と懸念
杏「うむ、良い子だ。では行こう。」
杏寿郎は結局思い通りに決めてしまうとやっと車を出したのだった。
―――
始業式、入学式を終えた駒校は実質今日から本格的に始動する。
と言ってもまだ1年生のオリエンテーション、部活体験などの非日常的な要素は残っていた為、生徒達はどこか浮ついた様子で登校していた。
「杏寿郎さんは剣道部の顧問なんですよね。私は…吹奏楽部でしょうか。」
杏「うむ。大方そうだろう。吹奏楽部なら剣道部と活動時間が似ている。理想的だな。」
「なるほど!」
―――『あ!レンキョだー!!』
(え……?レンキョって……、)
桜が外から聞こえた声に首を傾げると杏寿郎はおもむろに窓を開けた。
杏「煉獄 "先生" 、だろう!おはよう!!」
それを聞いて相手が生徒であったことを悟った桜は慌てて体を前に倒して縮こまった。
(見えてないかな…まさか窓開けるなんて……っ)
「杏寿郎さん……っ、窓閉めて!見つかっちゃう…っ」
杏「ああ、わざとだが。」
「………………え……?」
匂わせを通り越してこんな強引な事をするとは思っていなかった桜は動揺した。
そして身動きも取れず、信号で車が止まるたびに生きた心地がしなかったのだった。