第71章 続く再会
「あれ、杏寿郎さんに潰されたと言ってもぎりぎり過言ではないです。男の人と2人きりでお酒飲んだのはあの時と一昨日の2回だけで、あの時は杏寿郎さんが来たからあのお店で聞いた噂がフラッシュバックして、その後ヤケになっちゃったんです。ずっと泣きながら杏寿郎さんを呼んでた気がしますし……。」
それを聞いた杏寿郎は胸を撫で下ろしつつ少し優介に同情した。
杏「そうか…初めから飲んでいたわけではなかったのだな。俺はてっきり君がグレてしまったのかと思った。」
「グレてません!記憶がなくても会った回数が少なくても、杏寿郎さんの事を2年間ずっと忘れられなかったです。立道くんにはずっとその事を相談してて、あの日も杏寿郎さんとの再会について話すために会ったんですよ。」
桜がそう言うと杏寿郎は少しだけ引っ掛かっていた物が綺麗に溶けたのを感じた。
杏「……そうだったのだな。初めも随分と早く俺に心を開いてくれた。」
「ふふ、人生で2度目の一目惚れです。」
そうして桜が笑うと杏寿郎も微笑み返す。
そんなやり取りをしていたら最寄りのコンビニではなくもう一つ先のコンビニまで来てしまっていた。
「よく食べてくださったからつるんと食べられるものがいいかなあ。あ、箱アイスという手もありますね。」
杏「そうだな。だが不死川はおはぎが良いと冨岡が話していた。」
「なるほど!」
桜は一緒に生活していた時の事を思い出して納得したが口には出さなかった。
しかし杏寿郎はそれを思い出し、更にそれについて桜が故意に黙ったのだとすぐに悟る。