第71章 続く再会
「わぅっ」
杏「おっと!」
「……………あ、ありがとうございます…っ!!」
コンロへ向かう途中で自身の足に躓いた桜を杏寿郎が間一髪のところで支えた。
杏寿郎はしっかりと立たせると どさくさに紛れて桜に甘いキスをし、優しく髪を梳いてから『大体出来上がったようだな!!』と言い皿を用意しにキッチンを出て行った。
そして桜が不自然に赤くなりながら義勇にハンバーグを出すと今度は杏寿郎に視線が集まる。
すると杏寿郎は肩を揺らした後に腕を組んだ。
杏「嫌がる事はしていない!!!」
実「………このままじゃ本当に桜が疲れちまう。ホラ、もうお前は座れェ。」
「…えっ!?そんな…私は何かあった時の為にこちらの席で控えています…!」
桜は実弥が指差したソファではなくキッチンに1番近いクッションにすとんと膝をつく。
すると再び杏寿郎に視線が集まった。
杏「言っておくがこの価値観は桜が元々持っていたもので俺も今朝知ったばかりだ!!」
天「まじかよ。もてなしてばっかじゃなくて飲んで構わねーんだぞ。控えてるってどの時代の女だよ。地味にも程があるぜ。」
「え、あぅ…、」
杏「桜を苛めるのはやめてくれないか!!」
天「何なのお前!!俺今良いこと言ったつもりだけど!?」
小「宇髄は一言余計なんだ。桜、こいつらは好きにやらせれば良い。箸を落とせば自分で洗いに行かせれば良いし、取皿が必要なら自分で取りに行かせれば良い。」
行「うむ。私もそれを望んでいる。そもそもこれは桜との再会を祝う会だ。」
実「お前と話せなきゃ意味がねェ。」
小芭内と行冥にそう優しく言われ、実弥に微笑まれると桜は杏寿郎に大人しく手を引かれてソファに座った。
桜は杏寿郎の足の間にすっぽりと収まってしまったが皆妥協したのか突っ込まず、それから暫く和やかに再会を祝う飲み会が続いたのだった。