第71章 続く再会
杏「桜、これは大した事では無いぞ。君は人の事となると随分心配症になってしまうのだな。」
「……だって…杏寿郎さんの手はいつだって熱いのにこんな冷えてると可哀想に感じます…。」
そんなやり取りは皆の元まで丸聞こえであった。
皆は暫くキッチンの方を向いて聞いていたが会話が一段落すると義勇に目を遣る。
義「二人とも俺の為にあんなに頑張ってくれて俺のことが大好きなのかもしれない……。」
そう言って嬉しそうにムフフと笑う義勇に対して実弥が頭を思い切り引っぱたき、小芭内が頬に肘鉄を食らわせた。
行「伊黒、顔に肘は良くないぞ。」
小「…………………………。」
行冥に注意されても小芭内は何も言わず、ただ困惑している義勇を苛々とした目つきで睨み続けた。
実弥は眉を顰めたまま視線を逸らすとハイボール片手に軟骨入りつくねの唐揚げを頬張り目を丸くした。
実「桜、本当にどれもめちゃくちゃ美味いぞォ!!」
それを聞くとフライ返しを持ったままの桜がヒョコッと顔を覗かせる。
「わあっ、嬉しい!お夕飯食べてきてないって聞きました!どんどん食べてね!」
桜は再びにこっと笑うとタタッとキッチンの中へ走って行った。