第71章 続く再会
杏「桜!?大丈夫か!」
「あれ!杏寿郎さん?どうしたんですか?」
杏「君の様子を見に来た。やれる事はないか?どうして辛そうな顔をしていたんだ。」
「そんな…戻って皆さんとゆっくりしていて下さい…!ただお肉が冷たかっただけなんです。でもタネは温めない方がいいので…。」
杏「そうなのか。」
そう言いながら杏寿郎は自身の熱い手のひらを見つめる。
そして『ふむ。』と言うとジャーッとボールに水を入れ、更に氷も入れると迷い無くその熱い手を氷水に浸けた。
「杏寿郎さん!つ、冷たいでしょう…?早く手を出してください…!!」
桜は肉から手を離すと急いで手を洗い、ふわふわのタオルを差し出した。
しかし杏寿郎はにこにことしながら手を上げなかった。
「杏寿郎さん…っ」
杏「俺が手伝いたいんだ。これを捏ねれば良いんだな?」
よく冷えた手を桜が持っていたタオルで拭くと杏寿郎はタネを捏ねていく。
大きな手は桜と比べ物にならないほど早く十分に捏ね上げてしまった。
「ありがとうございます…!手、すぐに温めてください…!!」
桜はタネを急いで成形してフライパンに並べると、温度を確かめるように洗っている最中の杏寿郎の手に手の甲を当てた。
それは冷えに冷えていた。