第71章 続く再会
天「前々から思ってたけどお前爽やかそうに見えてねちっこい所あるよな。」
「宇髄さん、あんまり杏寿郎さんを悪く言うと怒りますよ。」
杏「ありがとう、桜。本当に良い子だな。それにしてもこの頬の膨れ具合いを見てくれ。堪らないだろう。」
そのやり取りを見て実弥と小芭内が露骨に嫌そうな顔をした。
実「二人きりの時にやれェ。」
小「全くだ。」
そんな空気を変えるように行冥が口を開く。
行「桜は料理が上手なのだな。どれも本当に美味しい…。」
天「それは俺も思った。まじで美味いわ。」
杏「君は食べてはならないと言ったろう!!」
実「あァ、良く出来てやがる。美味いぞ。」
小「確かにいつもよりずっと食が進む。」
そう皆が口々に褒めていると義勇も口を開いてぽつりと呟いた。
義「ハンバーグを食べたい…。」
実「鮭大根はァ!?どうせ苛立たせること言うんならアイデンティティは貫けやァ!!」
「鮭は余裕がないですが、ハンバーグなら材料足りますよー。ちょっと待っててくださいね。」
本当に作りに行ってしまった桜を見送ると皆の視線が義勇に集まる。
義勇はただ嬉しそうにしていた。
実「だからこいつは連れて来なくて良いって言ったんだよ俺はァ…。空気を読むってことを知らねェにも程がある。」
杏「このままだと桜を働き詰めにさせてしまう。だがあの子は頑固だからな…何か手伝える事はないか見に行ってくる。」
小「杏寿郎、火には手を出すなよ。」
杏寿郎は幼馴染でありボヤ事件を目撃した事のある小芭内に『うむ!!』と言ってからキッチンへ入って行った。
すると桜は氷水で冷しているボールの中に手を遣り、冷たさに目を瞑りながらタネを捏ねていた。