第71章 続く再会
(相場が分からないけど、4万円なら今までしてもらった事を考えると安すぎるくらいのプレゼントだ…!)
「杏寿郎さん、ちょっとこっち向いて。」
そう微笑みながら言うと、シルバーに杏寿郎の瞳と同じ色が差し色として使われているネクタイピンを胸に当てる。
そしてぱあっと花咲く笑顔を浮かべると、杏寿郎にそれを見せないままレジへと転びそうになりながら走っていった。
「プレゼントでお願いしますっ!!」
こうして桜は初めて父親以外の男性にプレゼントを買ったのだった。
「ふふふー。はい、どうぞ!」
桜は頬を緩ませながら杏寿郎に紙袋を渡す。
杏寿郎はその無防備な表情に少し困ったように笑ったが ただ礼だけを言って受け取った。
杏「待ち切れないので開けてもいいだろうか。」
そう訊きながらも杏寿郎の中では決定事項になっているらしくずんずんとベンチへ向かっていく。
桜は笑って『もちろんです!』と快諾した。
杏寿郎は開けてみて自身の瞳の色に合わせた事を知ると目を丸くしてから心底嬉しそうに眉尻を下げて笑った。
杏「月曜が楽しみで仕方ない!!周りがシルバーだから何色のネクタイにも合うな!!!」
「ふふ、喜んでもらえて嬉しいです。」
はにかむ顔を愛おしそうに見つめながら杏寿郎は優しく優しく桜の頭を撫でた。
桜はそれをただ嬉しそうに目を瞑って受け入れた。