第71章 続く再会
「すまない。強く言い過ぎたな。側を離れないでいてくれるのであればそれで良い。俺が必ず守ろう。なのであまり落ち込まないでくれ。君がその様な顔をしていると居た堪れなくなる。」
桜は杏寿郎の優しい手付きに少し赤面しながらも素直にこくりと頷いた。
―――
杏「その店は有名なブランドだろう。値も張ると思うが…。」
「私が買いたいんです!」
歳上の杏寿郎への贈り物なので背伸びをしたい桜はネクタイピンを有名ブランド店で買いたいと思っていた。
そして杏寿郎は初給料もまだな桜を心配していた。
だが、すぐに考えが変わる。
杏寿郎はおしゃれにこだわりが無い。
腕時計は付けているが、それは必要であったから買っただけで値段も高くはない。
そんな印象を生徒達も自然と持っているだろう。
そこにブランド物のネクタイピンをすれば目ざとい女生徒達がどう思うかは容易に想像がつく。
つまりは今 桜の積極さにするりと乗っかってしまえば "匂わせ" が叶ってしまう、そう思ったのだ。
そして以前自分達を盗撮した生徒も中高一貫校となればまだ在校中である確率も高い。
上手くいけばネクタイピンの贈り主は自ずと知れ渡るだろう。
杏「……では見るだけ見てみよう。」
「わあっ!」
杏寿郎の思惑に気付かず桜は目を輝かせる。
そして杏寿郎の手を引くとわくわくとしながらブランド店に入って行ったのだった。