第71章 続く再会
杏「何度も言うが、君は酷く愛らしい。色香など無くとも男の目を引く。いい加減自覚をしてくれ。」
「……杏寿郎さんがそこまで私の外見を褒めてくださるのはとても嬉しいですが、それは贔屓目で見てい、」
杏「ならどうして4年連続でミスキャンパスになる。」
その酷く低い声を聞いて桜は目を丸くした。
「…な………何で知っているのですか……?」
杏「調べたからだ。そして今そんな事はどうでも良い。先程歩いている時に君の名を口にした男が何人も居た。君はネットに顔と実名が乗ってしまったし、尚且つ4年連続でミスキャンパスになるという異例の結果を残して大きな話題となってしまった過去があるのだぞ。」
桜は目を丸くし続ける。
ミスコンに関してはよく分からないうちに全て周りが進めてしまっていたからだ。
「いつの間にそんな事に……。」
杏「君は隙を作りすぎだ。君の事だからミスコンの実行委員に上手いこと言いくるめられたのだろう。相手が女性だろうと全てを信用してはならないぞ。」
そう言う杏寿郎は少し父親と似ていて、恋人にその様な事を言わせてしまった桜は申し訳なくて情けなくて眉尻を下げた。
「……本当に、本当にごめんなさい。気を付けます。側も離れません。」
桜の妙な落ち込み具合いに気が付くと杏寿郎はお手拭きでマルゲリータを食べて粉の付いていた桜の指を1本1本優しく綺麗に拭っていった。