第71章 続く再会
(言い合いで同い年に戻ったような感覚に陥ったけれど、やっぱり今の杏寿郎さんは6つ年上の杏寿郎さんなんだな……。)
桜達は1度帰ると買い物してきた物をそれぞれの場所に仕舞い、今度は車で15分のショッピングモールへと向かった。
「……久しぶりですね。」
杏「うむ。……もしやあの時も既に君を不安にさせていたのだろうか。」
行き先は2度目のデートで映画を観に行ったショッピングモール施設であり、生徒達に写真を撮られた場所であった。
「…………お付き合いしてないのにキスするし、デートもした事ないって言ってたのにキスが上手だし、最後には余裕のある微笑みを向けるし……結構不安でした。」
桜が正直に隠さず言うと杏寿郎は目を丸くした。
杏「あの時までは上手くいっていたのだと思っていた。随分と理解出来ていなかったのだな。そして言葉にすれば確かに俺はとても軟派な事をしていた。」
杏寿郎はハンドルを握り直し、前を見ながら『すまなかった。』と心底申し訳なさそうに言った。
桜はそれをチラッと横目で見ると少し微笑む。
「今が幸せすぎてもうどうでも良いです。それに2年間のすれ違いのそもそもの原因は話し合わずに逃げた私にありますし…。」
杏「噂を信じさせてしまったのは俺の言動が原因だろう。」
「い、いえ!いきなり拒絶するのは間違いで、」
杏「そうしなければ心が壊れそうであったのだろう?第一許可も取らず君の気持ちを置いてきぼりにしてキスをしていた事に気が付かないなどあんまりな話だ。」
「そうだとしても私が……、」
それから杏寿郎と桜は結局 施設に着くまで "そっちが悪い" ではなく "こっちが悪い" という言い合いを続けたのだった。