第71章 続く再会
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「………………ん……、」
杏「む!桜、おはよう!!」
桜が薄っすらと目を開けると杏寿郎は酷く嬉しそうな顔をしていた。
「…………?……おはようございます……。」
杏「うむ!おはよう!先に目覚めて君の寝顔をじっくりと見られるなんて良い朝だな!!」
それを聞いて桜はパチッと目を開ける。
そして輝く大きな目で観察されていたのだと把握すると赤くなって掛け布団を頭まで被ってしまった。
それを見て舞い上がっていた杏寿郎は目を丸くする。
杏「すまない、寝顔を見られるのは恥ずかしかったのか。以前は俺が熟睡してしまっていただろう。見れた事が嬉しくてつい舞い上がってしまった。からかったりはしないので出ておいで。」
その優しい声を聞くと桜はピョコッと顔半分を出し、杏寿郎を上目遣いに見つめた。
そして杏寿郎が口角が上がりそうになるのを堪えて穏やかな笑みを見せ続けていると 桜はホッとして掛け布団から出て杏寿郎の胸に顔を埋めた。
「杏寿郎さん、やっぱり大人っぽくなりましたね。前は感情を全面に出してグイグイ来てたのに…。こういう時 自分の幼い態度が恥ずかしいです。」
杏寿郎は本質的な感情が変わっていなかった為 自身の変化に気が付けていなかったが、桜の言葉を聞いて感情をコントロールする事が上手くなっていたのだと初めて気が付いた。