第70章 お許しと引っ越し
(そうだ、杏寿郎さんが無理強いするはずがない。)
「実は子供のことでちょっと相談があって…、」
杏「うむ、何でも言ってくれ。」
杏寿郎は真剣な顔をしてやはり優しく頭を撫でてくれる。
桜は心が温かくなるのを感じた。
「その……6人はやっぱり多すぎるかと………。」
恐る恐る杏寿郎を見上げると杏寿郎はきょとんとした顔をしている。
しかしピンときた顔をすると止まってしまっていた手を再び優しく動かしながら微笑んだ。
杏「そんな事はないぞ!君との子なら10人でも良いくらいだ!!」
「い、いえ!お仕事に差し支えるかな…と!産休で穴を空けすぎてしまいます…。」
杏「……………家庭に入らないのか?」
「え…………?」
結局その話は長くなりそうだと感じた2人は買い物を先に済ませて家でゆっくりする事になった。
―――
杏「頂きます!!!」
「ふふ、召し上がれー。」
2人はほこほことした笑顔を浮かべながら手を合わせる。
杏寿郎は炊き込みご飯を一口食べて『うまい!!!』と言い放ち、桜はじんじんする耳を擦りながら眉尻を下げて笑った。