第13章 お館様
杏寿郎が部屋を出ていくのを見届けてから、こくりと喉を鳴らして親方様に向き直る。
親「聡い君はもう分かっているようだけれど、私が君をここへ呼んだ産屋敷耀哉だ。よろしくね。」
そう言って微笑む。あまりにも偉ぶらない様子に桜は少しぽかんとしてしまった。
(命をかける鬼殺隊のトップ…それをこの柔らかさで纏めてるんだ…。恐怖政治よりよっぽどすごい…カリスマ性っていうのかな…?)
そう思うと体が先に動き、また頭を下げていた。
親「さて…、桜さえ良ければ、早速話を聞きたいんだけど、どうかな。」
親方様は少しだけ首を傾げて微笑んだ。
「は、はい!!」
それから桜は、まずユキと自分の関係について話した。
元々は神様として接していたこと、ユキは傷や病気を癒やす神様だったこと、自分と友達になって消えてしまったこと、胸の中に存在を感じること…そして、自分が力を使えること。
親方様はずっと静かに聞いてくれていた。
親「それじゃあ桜は元々人なんだね。今の姿にはいつからなったのかな。」
「あ!!失礼しました!緊張していて忘れてて…!!」
そう慌てると ふわっと空気を揺らして人の姿に戻る。