第70章 お許しと引っ越し
「それではネクタイピンなんてどうですか?私もあなたに贈り物をしたいと思っていましたし…。」
その言葉に杏寿郎はぱあっと顔色を明るくさせる。
それと共に桜も笑顔になった。
(かわいい……!)
「明日選びに行きましょう!」
杏「うむ!!明日が楽しみだ!!!明日と言えば夜ここに集まるので楽しみにしていてくれ!!」
「……?…………はい!」
それから2人は順調に荷解きをし、寝室の他にある2部屋は何故か杏寿郎と桜の部屋ではなく、椅子もクッションも無い書斎と楽器の部屋となった。
杏寿郎に訳を訊いたら『自室に閉じこもられたら辛いからリラックス出来ない空間にしたかった』との事だった。
杏「うむ!これでキャリーバッグの中身は空だ!君の物がこの家に馴染んだな!!」
「はい!それにしても買ってあった服の量が思ったより多くてびっくりしました。でも全部とっても好きなタイプで嬉しいです。」
桜がそう言って微笑むと杏寿郎も微笑み返しながら頭を柔らかく撫でる。
杏「君に似合いそうで、尚且つ俺好みの物を買ったんだ。気に入ってもらえて良かった。では夕飯にしよう。むぅ、今夜はどこにしようか。」
「え……お、お外へ食べに行くのですか?」
滅多に外食をしない桜は2日連続で外へ行こうとしている杏寿郎に目を丸くさせた。
ハッとして台所へ行けば 綺麗に手入れはされているものの使っている形跡が全く無い。