第70章 お許しと引っ越し
「今日はもうしたでしょう?これ以上は、」
杏「桜、君は普通の女性になれた。昨夜舌を入れても色香を放たなかった。欲情はしていたが、それも軽いものだった。」
「……………えっ!!」
その言葉に桜は目を見開き希望に目を輝かせた。
「じゃあもう毎日1人でしなくても良いし、杏寿郎さんに弱みを握られて振り回される事も、男の人を困らせる事も、怯えることも、」
杏「それは元々が元々なので全く無いという訳ではないぞ。油断はしないでくれ。」
桜は頷きつつも嬉しそうに笑い、確かめるように杏寿郎に深いキスをした。
それと同時に杏寿郎は後悔をする。
杏(昨夜の不慣れな桜を見て失念していた。俺はこれに弱い。)
杏「桜、もう、んむっ」
一方、桜は確かに体は熱くなるもののそれが異常ではなく、頑張れば1人で立っていられる程度である事を知って夢中になっていった。
杏寿郎の額に青筋がいくつも浮かぶ。
力尽くで止めようと思えば止められたが、快感と欲情と余裕を失くした姿を見せたくないという気持ちがごちゃまぜになっていたのだ。
杏(……駄目だ、今日はもう既に激しく3回愛した上に両家にも行き、引っ越しもした。桜を壊してしまう。)
そう思うと杏寿郎は桜の肩を持って力を込めた。
「……あっ」
桜は少し残念そうな顔をしたが、すぐに笑顔になった。
「こんなにちゃんと気持ち良いって幸せに感じたの初めてです!いつもはすぐに頭が回らなくなっちゃってたので…。」
それを聞くと余裕を保とうと努めていた杏寿郎は目を丸くした後 本当の笑顔を浮かべた。