第70章 お許しと引っ越し
杏「君と住むことを想定して厳選した部屋だからな!不自由は無いと思うぞ!!」
「そういえば…リビングテーブルも4人用で十分な大きさだし、お風呂も広いし、ベッ……………、」
杏「うむ!!ベッドもダブルサイズだな!もっと大きく広々とさせた方が良いだろうかとも悩んだのだが、隅っこに逃げられたら耐え難いと思ってダブルにしたんだ!!」
「つまり逃げ場がないんですね…。あ!でもソファという手が、」
杏「朝も言ったが体を大事にしてくれ。もしその様な事をしたら………………、」
杏寿郎はそこで言葉を切って暫く口を薄く開いていたが結局 閉じてしまった。
続きを言わない事に桜は逆にぞっとした。
「えーっと……、まずお洋服よね…、」
杏「君の服は春夏秋冬に合わせてそれぞれ買ってあるぞ!サイズは君と買い物をした際に知ったのでな!なので露出が少なく体の線が出ない物の中から最低限選べば良い!!」
「…………杏寿郎さん、それってなんだか少し怖い…かもしれません。」
杏「よもや!どこがだ!!前にも買ったのだから何着買おうと変わらないだろう!!」
「うーん……確かに。別におかしくないのかしら。」
桜はうんうんと納得したように頷くと下着や最低限の衣服を纏めていく。
杏「後はそうだな。化粧品は要らない。」
「……えっ!?だめですよ、最低限はしないと…!女性はお化粧がマナーみたいなところあるんです!」
杏「そうなのか……。だが君が教えるクラスは殆どが男子生徒だろう。あまり…良くないと思うぞ。」
「良くない……?杏寿郎さん、高校生ですよ?」
杏「君は男を怖がっていた時 高校の同級生にも恐怖を抱いたと言っていた。彼等はもう殆ど男だ。女性の抱き方も知っているし、君に欲情だってする。」
それを聞くと桜は化粧ポーチを取り落とす。
そして赤くなると首を横にふりふりと力無く振った。