第70章 お許しと引っ越し
娘の言っている事を疑いたくはなかったが今までの悲惨な経験から現実逃避した際に出来た架空の存在かも知れないという考えが出てきてしまったからだ。
しかし―――…、
「やっと着いた……!次は境内の端まで来て!」
そう言う桜に付いて行った先で『お願い、背中に乗せて。あとでたくさんお供えするから。』と言った桜が何かに跨るようにして空中に浮くと目を見開いた。
「じゃーん。神様に跨っ、」
杏「桜!すぐに降りてくれ!!まさかスカートで足を開いて跨るとは……大変淫らな格好になっているぞ!!!」
「あっ、そっか…!ユキは見えないんだった…。」
ユ『何がまずいのだ。』
それに答えられず、桜は杏寿郎に抱えられるようにしてユキの背中から離れると赤い顔で俯いた。
「端ない事をしてごめんなさい……。」
由「す、すごいわ……随分と大きい神様なのね…。猫のお姿と聞いていたからびっくりしちゃった……。」
勇「癒猫様……。見えた時期があったと曽祖父から聞いた事はある。それが大きな猫のお姿だったとも。それも本当だったとは……。」
ユ『曽祖父?姿を見たとは重勇だろうか。頼勇だろうか。』
「頼勇さんの方だよー。そうだ、お父さん。ユキなら一ノ瀬家の事を色々知ってるはずだよ。何か質問してみたらもっと信じられるかも。」
そう言われても勇之にとっては空中浮遊が1番の衝撃的な証拠だった。