第13章 お館様
杏寿郎と桜が門まで歩くと、白髪の不思議な雰囲気をまとった美しい女性が立っていた。
杏「あまね様!?わざわざありがとうございます!!」
杏寿郎の驚きようを見るに、この方はとても偉い方なのだろう。
あ「それで、そちらの方が。」
杏「はい!文で伝えた桜です!」
「!…一ノ瀬 桜です!よろしくお願いします!」
桜が挨拶をするとあまねは微笑み、"こちらへ、" と案内してくれた。
着いたのは六畳ほどの小さめな部屋。
隣に杏寿郎が居てくれるのがとても心強い。
(親方様、怖い人だったりするのかな。トップの人だもんね…。親方って呼ばれてるし…力士さんみたいな見た目なのかな…。)
桜は弱気な考えに頭をふるふると振り、また杏寿郎を見て元気パワーを貰おうとした。
(やっぱりこの隊服姿すごい似合ってるなあ…強そうな格好に見合った力があるからこそ、なんだろうな…。素人の私が見てもこの人は強いって伝わってくる。私も…早く足手まといにならないように強く…、)
杏「どうした!」
「!!!!!」
急にバッと振り向いた杏寿郎に体がビクーンと跳ねた。
「い、いえ!!元気をもらっていました!!!」
杏「そうか!!見るだけで貰えるなら好きなだけ見るといい!!!」
そう言いながら桜の頭を優しく撫でる。
「ありがとうございます…。」
そんなやり取りをしていた時―――…
?「愉しそうな声がするね。今入っても問題ないかな?」
襖の向こうから優しい声がした。