第70章 お許しと引っ越し
勇「…………………………。」
「た、ただ今帰りました…。」
杏「お久しぶりです!!突然の訪問を許して頂きありがとうございます!!!」
由「いいえ、それは一向に構わないわ。ささ、上がって上がって!」
勇「……由梨……上げるのか。ここで文句を言って帰せば…、」
由「あら、私は何度も言いますが杏寿郎さんと桜の味方ですよ。」
勇「なっ……、この男は桜の敵だろう!!」
「待って!私が勘違いをしていたの!!そのせいで杏寿郎さんの体調も崩させてしまっていた…杏寿郎さんは何も悪くないんです!!」
桜の必死な言葉に勇之はびっくりして『そうなのか……?』と小さく呟いた。
そして何気無く桜と杏寿郎の指に光る揃いの指輪を見るとその場に倒れた。
杏「お父様ッ!!!」
勇「まだその呼び名は…許していない……。」
「杏寿郎さん、すみませんがソファまで運んでもらえますか!?」
杏寿郎は勇之を担ぐと由梨に深く礼をしてからリビングへ通してもらった。
由「私は瑠火さんから杏寿郎さんについて色々と聞いてきたから素敵な男性だってことは知っていたのよ。でも桜は塞ぎ込んで何も話さないし、杏寿郎さんも瑠火さんと会話が成り立たなくなってしまったようで仲を取り持てなくて……、でも解決したのね。」
「うん。杏寿郎さんと歩いている所を見た生徒さんが私とそっくりな女の先生と見間違えて噂を流したの。私はそれを鵜呑みにして……一方的に拒絶してしまった。それなのに杏寿郎さんは2年間ずっと待っていてくれて…、ううん、2年だけじゃなく……、」
そこで言葉を切ると桜は隣に座る杏寿郎を見上げる。
杏寿郎は優しく微笑み返すと桜の頭を撫でた。