第69章 桜と記憶と再会
(あ…………、今の少し私達と似てる…、)
杏「考え事とは良い度胸だ。」
「降参!降参しますっ!というかこれなんの戦いなんですか……っ」
―――ピロンッ
録画の終了音に千寿郎と桜が大きく息を吐く。
そして改めて視線を合わせると2人は嬉しそうに笑い合った。
千「お帰りなさい……と言うのが正しいのかは分かりませんが とても嬉し、」
瑠「それで2人の式場は決まったのですか?」
槇「それなら俺達が挙げた教会を、」
杏「結婚はきっかり1年後にするつもりです!!!」
(『 "少なくとも" 1年は時間をおきましょう』って言ったんだけどな……。)
桜はそう思いながらも杏寿郎の横に立つと微笑む。
「私はまだ就職したばかりですし、父が覚悟を決めるのにそのくらいの時間が掛かってしまうと思うんです。ですが杏寿郎さんもこう言ってくださっていますし、勿論私にも結婚の意思はあります。改めて、どうぞよろしくお願いします。」
桜はそう言いながら玄関から上がったばかりの廊下で膝をついて深々と頭を下げた。
瑠「桜さん、頭を上げて下さい。いつまでも部屋に通さずに申し訳ありませんでした。あまりにも可愛らしくて、つい。」
槇「ほら……、立て。風邪でも引いたらどうする。」
杏「そうだぞ。6人の子を拵えたいのならそういった行為は今から避けるように慣れるべきだ。」
杏寿郎の言葉に煉獄夫妻は食い付き、桜は両手で顔を覆った。