第69章 桜と記憶と再会
杏「ああ、そうだな。では段階を踏んで早速この週末両家に挨拶をするぞ!丁度近いので今日は俺の実家だ!いや、今日のうちに君の家にも行って 明日は両家顔合わせでも…、」
杏「杏寿郎さん…!急ぎすぎです。もうタイムリミットはないんですよ。」
桜は困ったように微笑みながらもそう言って杏寿郎の頬を優しく抓る。
杏寿郎はそれを同じようにやり返すと再び眉を寄せた。
杏「時間の問題ではない。俺は決めたらすぐにやりたい質なんだ。」
「……そういう所も好きですが…、」
杏「という事なので家族を起こすぞ!!!」
「えっ!?きゃあっ」
杏寿郎は桜を抱き上げると再び走り出した。
―――バタンッ
「父上!!母上!!千寿郎!!!桜が記憶を取り戻しました!!!」
「杏寿郎さん…!今まだ6時前ですよ……っ!!」
桜は自身がヒソヒソ声など出しても意味がないと分かりつつ必死に杏寿郎に訴えた。
しかしドタドタと音を立てて走り出てきた槇寿郎の顔色はただただ明るかった。