第69章 桜と記憶と再会
それをもっと強く感じたくて額をぐりぐりと押し当て腕を回す。
「杏寿郎"くん"……、」
杏「……………………桜……?」
震える声に視線を上げると杏寿郎が目を見開いていた。
「……杏寿郎さん。私…あれ……?お風呂で……、」
杏寿郎はそれを聞くと暫く固まった後に眉尻を下げて少し寂しそうな表情を浮かべた。
その表情に驚いて桜が杏寿郎の頬に手を当てると杏寿郎は余裕のある笑みを取り戻す。
「…………無理して笑わなくていいんですよ。」
そう言う桜は少し心配そうに眉尻を下げながら酷く優しい表情を浮かべていた。
そして杏寿郎の頭を抱き寄せて自身の胸に顔を埋めさせる。
「1人で抱え込まないでください。折角恋人同士になれたんですから……。」
杏寿郎は桜に抱かれながら前世でそうされた事を思い出して思わず頬を緩めた。
杏(放っておけない子かと思えば母性本能が強い面もある。不思議な女性だ。)
杏「桜、ありがとう。だが君のHカップで窒息しそうだ。」
「……っ」
桜は慌てて杏寿郎の頭を解放すると少し距離を取った。