第69章 桜と記憶と再会
(2年前もキスした後 全然ドキドキしてくれなかったな…。夫婦、か……。私にとっては初めてできた恋人だから温度差があるように思えてしまう……。)
杏「うむ、出来たぞ。」
「わ、ありがとうございます!」
杏寿郎は礼を言う桜の頭を撫でると桜ごと体を前に倒してローテーブルに掛かっている布を取り去った。
「…これ………もしかして……、」
杏「早くに見せてしまえば良かったと2年間ずっと後悔していた。君に縁のある物を俺の実家から持って来ておいたんだ。フルートは初めて見せるがな。」
そこには着物、洋服、箏、フルート、リボン、アルバム等が並べてあった。
「…………ずっと机に……?」
杏「うむ。ずっと此処に置いていた。」
桜は揺れる瞳でやはり赤い振り袖がないのを見るとある確信をする。
「……私だけ皆さんと違いますね。」
杏「…………………ああ。」
(前世なんてものを信じざるを得なくなっても尚おかしいことがある。私だけおかしい。)
「私と杏寿郎さんのキスの動画……あれは、この時代の私と前世の杏寿郎さんですね……?」