第68章 ※手解き
杏寿郎は初めゆるゆると動いていたが、愛液を全体に塗れたのを確認すると桜の頭脇に肘をついて深いキスをしながら激しく腰を打ち付け始めた。
「……ッ!!……ん"、ぅっ!!!」
桜はその酷く激しい行為が正しいものだと教えられていた為、なんとか応えようと快感に意識を向けて心を開いていく。
杏寿郎が口を離すと桜は悲鳴にも近い甘い声を出し続けた。
その顔はとろとろに蕩け、その愛おしそうな瞳から杏寿郎を愛しているという気持ちがこれでもかと言う程本人に伝わってしまっていた。
実際、桜は何度も息を酷く乱しながら杏寿郎の名を呼び、『好きです』と『愛しています』だと思われる言葉を繰り返している。
その光景を見下ろしながら杏寿郎はくらくらとした。
杏(恥ずかしがりの桜はこれ程までに激しく愛情表現をした事がない。俺の頭がどうにかなりそうだ。)
自身でそうさせておきながら、杏寿郎は桜の口を塞ぐように多めにキスをした。
杏(この様に激しく愛して、名を呼ばせ…桜は記憶を取り戻したら怒るだろうか。いや、大正時代の経験があるとはいえ肝心の正しい知識を桜は何一つとして持っていない。加えて俺は6つも歳上だ。この子の流されやすさを利用して言いくるめてしまおう。)
そんなずるい事を思うと杏寿郎は顔を離し、桜がぞくぞくとするような大人の色気を帯びる笑みを浮かべる。
(こんな素敵な人が私の旦那さんだったなんて…。今世でも…そうなるといいな……。)
そう思うと桜の中が搾り取ろうとするように締め付ける。
杏「……っ…………桜、出すぞ!!」
「んぅっ」
杏寿郎は出している時の余裕の無い顔を見せないようにキスをした。