第66章 拗れる
一方、『2年前とは違ってフリーではないのだから流石にキスは拒絶される筈だ。』と思っていた杏寿郎は全く抵抗しない桜に酷い嫌悪感を抱いた。
パッと口を離すと杏寿郎は桜に見せた事のない怒りに満ちた顔を向ける。
杏「君は……どうして…、何故受け入れた。」
「………………え……?」
キスで赤くなって呆けている桜を見下ろすと半ば自棄になってしまった杏寿郎はとうとう舌を入れた。
桜は知らないキスの仕方に目を見開いた後 口を閉じようとしたが、杏寿郎の舌を噛むことが出来ずに受け入れているかのようになってしまった。
それどころか頭が蕩けると舌が柔らかくなってしまう。
その反応に杏寿郎は瞳の光を失い、体を離した。
杏「彼に悪いと思わないのか…。君は変わった。……俺の知る君はもういないのだな。」
「…あ………あの…、体が…さっきからなんだか…熱くておかしくて………もしかしたら風、」
杏「それを解決するにはベッドへ行くしかないと 男を知る一ノ瀬先生ならもう分かっているだろう。」
(男…?)
杏寿郎の声は厳しかったが、桜は体調を崩した自身を叱ってベッドで介抱してくれるのだと勘違いをし、小さな声で礼を言った。